2006年02月16日

〜まーぼが初めてマスクをかぶった日 2〜

昨日の続きです。

S君はまーぼの女房役でした。そして抜群の統率力でチームを引っ張る頼もしいキャプテンです。

その彼の欠場はチームにとっても大きいことですが、そうせざるを得ない状況でした。


S君は肩を痛めていたんです。しかも一ヶ月以上前から。


その痛い肩を抱えて県南大会を戦っていたんです。
親である監督にも、チームメイトであるまーぼにも一言も言わず。


自分一人で抱え込んでいつ言い出すか悩んでいたそうです。
しかし県南大会期間中は県大会出場を最優先に考え、キャプテンである自分が欠場するわけにはいかないと考えていたんです。

その県南大会も終わってしまい、ようやく肩の痛みを父に相談したのが開会式の夜でした。

S君欠場で空いた捕手には、普段ショートを守っている5年生のM君が入って、マスクをかぶることになりました。(ヤクルトjrで決勝戦のマスクをかぶったあのM君です)
実はまーぼが4年生のときは、キャッチャーはM君でした。高学年になってからは久しぶりのマスクです。
S君は終盤の代打だけにとどめ、声でチームを鼓舞し続けていました。


S君の欠場はチームのムードに大きく影響すると考えていました。しかしほかの選手達にあのS君の宣言が大きく響いていたんです。

快進撃が始まりました。

2回戦はその翌日。さいたま市の強豪チームで1点しか取れない緊迫した内容でしたが、まーぼとO君(現在もチームメイト、名センター)のリレーで相手を1安打完封。得意の守って勝つ野球ですっかり勢いに乗りました。


3回戦も壮絶な試合でした。
朝から雨がぱらつくあいにくの天気。しかし誰の行いが良かったのか、試合開始時にはその雨もピタリと止んでいました。

先発はこの日もまーぼでした。

しかしこの日のまーぼはどうも調子が悪い。1番にフォアボール。2番は三振を取ったものの3番、4番にヒット。ここまでに投げたのは23球。普段の倍近い球数を投げている。明らかに制球に苦しんでいた。

監督の早い決断で0回2/3でO君に交代しました。

初回は調子の悪いまーぼが1点を与えてしまったものの、そのあとはO君が得意の緩急を使って相手を翻弄し0行進が続いた。

一方、こちらの打線は絶好調。
3、2、2と点を積み重ね7対1で最終回を迎えました。時間を考えてもここを抑えたら試合終了という状況でした。


ところが、ここで運命の女神が気まぐれを起こしました。


それまで止んでいた雨が急に降り始めたんです。

O君が1球投げるごとに雨脚が強まり、豪雨という言葉が適するほどの状態になってしまいました。
この雨でO君の制球が急に乱れ出しました。まともにストライクが入らない。ようやく入ったストライクを痛打される。
連続安打と連続四球であっという間に5失点。気がつけばあんなにあった点差が1になっていました。

しかも雨は一向に衰える気配はありません。ここでようやく審判は試合を中断しました。

正直、降雨コールドにして欲しい、我々指導者は切に願いました。
勢いは向こうにある。このままでは逆転されてしまう。そんな弱気の虫が私の心の中に騒ぎ出していました。

しかしそんな願いもむなしく15分ほどの中断の後、試合は再開しました。

1アウトランナー2塁というまだ緊迫した状況でピッチャーを交代し、マウンドにまーぼが向かいました。
そしてセンターにはキャプテンS君が全力疾走で守備につきました。S君は雨の音にかき消されることなく大きな声で全選手を鼓舞しました。その声に釣られてほかの選手も声を出し始めました。

雨は先ほどまでよりは弱くなってるものの、依然本降りのまま。選手の帽子のつばから雨がしたたり落ちます。
それでも控えの選手も、ベンチの指導者も、応援の父兄も、誰一人傘を差すことなく声を出し続けました。

まーぼは制球難でマウンドを降りた初回の借りを返すかのように、気合いの投球で最初のバッターを空振り三振。これで2アウトランナー2塁。

ところがここで雨がまた強まって来た。その影響から手元が狂い、2人連続で四球を与えてしまい2アウト満塁。

あと一人四球を与えてしまったら同点という所まで来てしまった。

ここで相手チームの打席は1番バッター。この回の攻撃で先頭バッターとしてツーベースヒットを打っている。

その自信があったのだろう。


まーぼが投げた球はど真ん中へ。バッターは迷うことなくバットを振り抜いた。


雨を切り裂くような打球は3塁手に向かって真っ直ぐ飛んでいった。

そしてグローブにスッポリと収まった。


一瞬、時が止まった。そしてワンテンポ置いてから、主審がコールした。

「アウト! 集合!!」

ベンチも応援席も優勝したかのような大騒ぎ。雨に濡れていることなんて一つも気にせず、抱き合って喜びました。

この最後の場面。今、冷静に考えると、正直相手ベンチがバットを振らせない作戦に出ていたら、勝ちはなかったかも知れません。
『待て』のサインを出さなかった相手チームベンチに、私は今でも敬意を表しています。

こうして我がチームはベスト4に進出。準決勝に駒を進めました。

そして、翌週。運命の準決勝、決勝の当日。


準決勝のマウンドにまーぼが登りました。



続きはまた明日。
posted by かに at 12:52| 埼玉 🌁| Comment(6) | TrackBack(0) | 少年野球 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして、館長・P助の父といいます。
小3の野球少年を息子に持つ新米コーチです。
毎日の少年野球ブログサーフィンが日課になりつつあります。そんな流れでたどり着きました。
皆さんのブログを拝見するのは大変勉強になります。
私もブログ開設しました。ぜひお越しください。コメントなぞもいただけると励みになります。どうぞこれからもよろしくお願いします。
Posted by 館長・P助の父 at 2006年02月16日 13:50
館長・P助の父さん、はじめまして。

ようこそお越し下さいました。
3年生というとこれからどんどん試合も増えて、楽しいことがいっぱい待ってますよね。
子供もしっかり親のこと聞いてくれるし。

そのうち何を言っても「あぁ、わかってる」としか返事してくれなくなっちゃいますから、今のウチにたっぷりコミュニケーションしてくださいね。(^_^;)

これからはそちらにも寄らせてもらいます。よろしくお願いします。
Posted by かに at 2006年02月17日 11:24
雨を味方に出来たんですね。
わがチームは昨年秋の市内大会1回戦まさかの逆転負け。雷雨の中、守備についていた運の悪さでした。でも普段の心がけと思っています。
キャプテンの執念かな。
まーぼ君のど真ん中に相手もちょっとミスったのかも知れませんね。
続きが気になります・・・。
Posted by 満木 月風 at 2006年02月17日 18:45
昨夜ブログが復旧した時、ここはまだ閲覧出来ませんでした。ですからいまこのエントリーを読みました。
準決勝も死闘だったのかな? 楽しみだぁ^^
Posted by ドラ夫 at 2006年02月17日 20:00
満木月風さん、どうもです。

この時に限らず、ウチも何度か雨の中の試合をしたことがありますが、圧倒的な差がない限り、ほとんど競った試合になりますね。

屋外のスポーツだからしょうがないとは思いますが、小学生には出来る限り雨の降らない状況で試合をさせてあげたいと思いますね。
Posted by かに at 2006年02月18日 01:40
ドラ夫さん、どうもです。

先ほど最終回のエントリーをアップしました。

書いているとあの頃を思い出されて、いろんな思いが交錯しますね。
この勢いで秋の県南、県大会も書いちゃおうかななんて、色気を出し始めちゃいました。
Posted by かに at 2006年02月18日 01:43
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